登録日: 2020-07-25 更新日: 2020-07-31
前回は、「Fedora Workstation 32」(GNOME) を USB メモリにインストール しました。ですが、新しいカーネルで問題が発生しました。
そこで安定動作の「CentOS」をインストールしてみました。 CentOS は、サーバーとしてよく使われていますが、GNOME デスクトップ環境をインストールしてワークステーションとしても使えます。使われているカーネルは枯れており、安定動作が期待できます。
試したのは、公開されたばかりで最新の「CentOS-8.2.2004」です。
(2004 の数字は2020年04月のことで、元になったRHELのソースの日付を表しています)
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CentOS 8.2
GNOME デスクトップ環境をインストールした直後の画面:
→Windows キーを押したところ。まだ、日本語化はしていない状態。これからです。
壁紙に注目すると「8」がデザインされてます。今回のソフトウェアの選択でのアプリの状態は、多すぎず、少なすぎずかなと思います。Office 等はまだ入っていません。
このあと、お気に入りの登録はもっとシンプルにしました。
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参考:
Red Hat 社が商用 Linux の「RHEL」のソースを公開しています。そのソースを使い、「CentOS Project」コミュニティが商標部分を取り除いてビルドし直した Linux ディストリビューションが、CentOS(セントオーエス)です。
商用のRHEL と機能的に高い互換性を持ちます。つまり、無料でありながら、商用の品質です。
ただし、ミラーサイトや、リポジトリなどは違い、インストールできるアプリに制限があります。
メジャーアップデートは 3~ 5 年ごと、マイナーアップデートは 半年~1年ごとです。
長いサポート期間(10年)と、高い安定性で、サーバーとしてよく使われています。
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イメージのリリース形式としては:
「CentOS Linux」 →バージョン番号は 8.0、8.1、8.2、刻みです。半年~1年ごとにリリース
「CentOS Stream」 →ローリングリリースで、1~3か月ごとにリリース。開発バージョンという位置付け。
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最新のイメージファイル:
CentOS 8.2.2004 (カーネル 4.18.0-193)
イメージ公開: 2020-06-09(RHEL 8.2 2020-04 のソースがベース)
フルアップデート終了: 2024-05(機能アップが望める期間)
メンテナンスアップデート終了: 2029-05-31(サポート期間)
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カーネルは、Ubuntu 18.10 や Linux Mint 19.1 で使われていたころのバージョンです。 2年弱なので、サーバーのカーネルとしては新しいと思います。
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ダウンロード:
利用可能な限られた帯域幅を節約するために、ISO イメージは mirror.centos.org からダウンロードできません。 住んでいる地域のミラーで、ISOイメージを利用できます。
→今回は、下記に置かれたイメージを使用
CentOS-8.2.2004-x86_64-minimal.iso (2020-06-09)
チェックサムの確認:
$ sha256sum CentOS-8.2.2004-x86_64-minimal.iso 47ab14778c823acae2ee6d365d76a9aed3f95bb8d0add23a06536b58bb5293c0 CentOS-8.2.2004-x86_64-minimal.iso
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インストール
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1. 事前作業
今回のライブUSB メモリには、ディスクのパーティションを操作できるアプリが入っていません。 事前に他のOS で、「インストール先となるUSB メモリをパーティションがない状態」にしておきます。
16GB でも、64GB でも良いので、fat32 でフォーマットしたものを使いました。
ディスクの操作は、慎重にやらないと危険なので、まずは、USB メモリをセットしないでアプリで表示されるデバイス番号を確認。その後セットすることで、対象のUSB メモリはそれ以外の番号とわかります。
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「Windows」キー →一番下の「Show Applications」→「Disks」で検索→「Disks」アプリを起動
左側で、63GB(/dev/sdc) をクリック→fat がひとつであることを確認。(重要な目印)
「■」(四角)をクリックしてアンマウント→「▶」(三角)に変わります。
「ー」→「Delete」でパーティションを削除→すべて「FreeSpace」にします。(つまり、何もない状態)
右上の「x」でウィンドウを閉じます。
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2. ライブUSB メモリで立ち上げ
ブート選択画面が表示されます。
CentOS Linux 8 Install CentOS Linux 8 Test this media & install CentOS Linux 8 : Automatic boot in 60 seconds ...
→自分のPC だと、カウントダウンされず、そのまま動かないので、「Enter」キー押下。
しばらくすると、起動されました。
ちなみに、「Tab」キーを押したときの表示は、下記です。(コマンドの編集モード)
> vmlimz initrd=initrd.img inst.stage2=hd:LABEL=CentOS-8-2-2004-x86_64-dvd rd.live.check quiet
修正せず、そのまま「Enter」キーで、しばらくすると立ち上がりました。
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3. インストーラ画面が表示されます。
動作を試すことのできるライブ機能はありません。すぐにインストーラが起動します。
WELCOME TO CENTOS LINUX 8.
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4. インストール先になるUSB メモリ(パーティションなし)を挿します。
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5. 言語:
- 日本語 →日本語(日本)
→「続行」
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6. インストール概要: (自動で入力されているので確認)
- 地域設定
キーボード(K) 日本語
言語サポート(L) 日本語(日本)
→「アジア/東京 タイムゾーン」に変更(地図の日本をクリック)
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- ソフトウェア
インストールソース(I) ローカルメディア(ISO)
ソフトウェアの選択(S)
ベース環境: サーバー → 「カスタムオペレーティングシステム」 にチェック
→その他: 「標準」、「開発ツール」、「グラフィカル管理ツール」、「システムツール」
→(ここが一番悩んだところ。アプリの数としては良かったみたい。)
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- システム
インストール先(D) 自動パーティション設定が選択されました(赤色)
KDUMP kdump が有効になります
→余計なメモリを使いたくないので、「kdump を有効にする」のチェックを外しました
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- ネットワークとホスト名(N) 接続していません
→Ethernet(enp1s0) を選んで、オン →完了
→有線(enp1s0) で接続されました
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- セキュリティポリシー(S) コンテンツが見つかりませんでした
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- ユーザの設定
root パスワード(R): root アカウントは無効になっています
ユーザの作成(U) ユーザは作成されません
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7. 「インストール先(D)」をクリック
- デバイスの選択
→挿し込んだUSB メモリが見えないので、右下の「更新」をチェック →再スキャン
→今回は「sdc / 58.43GiB 空き」だけにチェック(複数のディスクにチェックが付けられるので注意)
- ストレージの設定
「自動構成」→「カスタム」にチェック
→自動構成にすると、LVM2 フォーマットになり、サーバーだとディスクが有効に使えますが、USB メモリへのインストールだと、コンピュータ名がボリューム名になるので他へのマウントが難しくなり、融通が効きません。
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画面左下の青色の「完全なディスク要約とブートローダー」をクリック
- 選択したディスク
sdc にて「ブート」にチェックあり ←確認
→「閉じる」
→左上の「完了」をクリック
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8. 「手動パーティション設定 」画面
画面左の「LVM」→「標準パーティション」
画面左の「+」をクリック
マウントポイント「/」を選んで、「マウントポイントの追加」をクリック
画面右側にて、
→右下の「設定を更新」をクリック
→左下に黄色の警告→「swap なし」→閉じる
→左上の「完了」をクリック
→再度、「完了」をクリック
「変更の概要」が表示 →「変更を許可する」をクリック
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9. 「インストール概要: 」画面に戻りました。
- システム
インストール先(D) ストレージ設定チェックに警告(←スワップ領域を指定してないからですが、今回は作りません)
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10. 「インストール概要: 」画面に戻りました。
各項目にオレンジ色の警告がないことを確認
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11. 画面右下の「インストールの開始」をクリック
「インストールの進行状況」を表示
ステータスバーが伸びていきます。
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12. インストール中に、ユーザの設定を聞いてきます
- ユーザの設定
root パスワード(R): root パスワードが設定されていません
→パスワード→完了
→「root パスワードは設定されています」に変化
ユーザの作成(U) をクリック
フルネーム: (任意)英字
ユーザ名: (任意)英字(ユーザー名はホームフォルダの名前にもなります)
「このユーザーを管理者にする」にチェック
(Fedora だとここにチェックするとroot パスワードはスキップされますが、CentOS ではスキップされません)
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パスワード:(任意)
パスワードの確認:(任意)
→左上のユーザの作成「完了」をクリック
→「管理者 xxx が作成されます」表示
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13. 「完了しました!」表示
→「再起動」クリック
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14. ブート選択画面:
CentOS Linux (4.18.0-193.e18.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (0-rescue-2e5dd……75191) 8 (Core)
→すぐに一番上が選ばれて、起動しました。
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15. ログイン画面
コンソール端末の全画面表示です。
CentOS Linux 8 (Core) Kernel 4.18.0-193.e18.x86_64 on an x86_64 Active the web console with: systemctl enable --now cocpit.socket localhost login:
余計なメッセージで埋まったら、Enter キー
→設定したユーザ名とパスワードを入力
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インストールしたシステムの確認:
$ uname -r 4.18.0-193.el8.x86_64 $ cat /etc/centos-release CentOS Linux release 8.2.2004 (Core) $ cat /etc/redhat-release CentOS Linux release 8.2.2004 (Core) $ cat /etc/os-release NAME="CentOS Linux" VERSION="8 (Core)" ID="centos" ID_LIKE="rhel fedora" VERSION_ID="8" PLATFORM_ID="platform:el8" PRETTY_NAME="CentOS Linux 8 (Core)" ANSI_COLOR="0;31" CPE_NAME="cpe:/o:centos:centos:8" HOME_URL="https://www.centos.org/" BUG_REPORT_URL="https://bugs.centos.org/" CENTOS_MANTISBT_PROJECT="CentOS-8" CENTOS_MANTISBT_PROJECT_VERSION="8" REDHAT_SUPPORT_PRODUCT="centos" REDHAT_SUPPORT_PRODUCT_VERSION="8"
→「el8」というのは「rhel 8」からきたみたい。platform 名です。
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インストールされたパッケージグループを確認:
$ dnf group list : Available Environment Groups: Server with GUI Server Minimal Install Virtualization Host Workstation ←(インストーラの項目として表示されません) Installed Environment Groups: ←(インストールされている環境グループ) Custom Operating System Installed Groups: ←(インストールされているグループ) Development Tools Graphical Administration Tools System Tools Available Groups: Container Management .NET Core Development RPM Development Tools Headless Management Legacy UNIX Compatibility Network Servers Scientific Support Security Tools Smart Card Support
→インストール時の「ソフトウェアの選択」で指定した項目がそのまま、インストールされました。
ソフトウェアの選択(S) ベース環境: 「カスタムオペレーティングシステム」にチェック その他: 「標準」、「開発ツール」、「グラフィカル管理ツール」、「システムツール」
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ベース環境: 「カスタムオペレーティングシステム」を見ると:
$ dnf group info 'Custom Operating System' : Environment Group: Custom Operating System Description: Basic building block for a custom CentOS system. Mandatory Groups: Core Optional Groups: Guest Agents Standard
これと、「最小インストール」との違いは:
$ dnf group info 'Minimal Install' : Environment Group: Minimal Install Description: Basic functionality. Mandatory Groups: Core Optional Groups: Guest Agents Standard
→違いはないので、たぶん、その他の選べる項目が違うのかな。
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インストーラの項目にはない、「ワークステーション」をのぞくと:
$ dnf group info Workstation : Environment Group: Workstation Description: Workstation is a user-friendly desktop system for laptops and PCs. Mandatory Groups: Common NetworkManager submodules Core Fonts GNOME Guest Desktop Agents Hardware Support Internet Browser Multimedia Printing Client Standard Workstation product core base-x Optional Groups: Backup Client GNOME Applications Headless Management Internet Applications Office Suite and Productivity Remote Desktop Clients Smart Card Support
→欲しかった「GNOME」デスクトップ環境があります。グループがあれば楽にデスクトップ環境がインストールできます。 オプションで「Office」もあります。(現在はインストールされていません)
ただし、Fonts があるので、余計なフォントが入っていそう。
ちなみに、後で行う「EPEL」リポジトリの追加で「Xfce」、「KDE Plasma」のデスクトップ環境がグループとして増えます。
これらなら、Wayland で使ってもQt アプリで問題はなさそう。
とりあえずは、軽さと安定性で「GNOME クラシック」セッションを使うことになります。地味だけど壁紙しだいで見た目は変わります。
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システム更新
$ sudo dnf update : Importing GPG key 0x8483C65D UserID : "CentOS(CentOS Official Signing Key) <security@centos.org>" Fingerprint : 99DB 70FA E1D7 CE22 7FB6 4882 05B5 55B3 8483 C65D From : /etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-centosofficial Is this OK [y/N] : y
→初めての更新だったので、GPG キーのインポートをしてもよいかを聞いてきました。 フィンガープリント値が正しいかは、事前に調べておかないとわかりません。
あとで調べたけど、登録されるともう聞いてこないので必要ありませんでした…。
参考:
CentOS 8 の場合のGPGキー:
pub 4096R/8483C65D 2019-05-03 CentOS (CentOS Official Signing Key) <security@centos.org> Key fingerprint = 99DB 70FA E1D7 CE22 7FB6 4882 05B5 55B3 8483 C65D
→GPGキーはファイルのダウンロードをするときに、そのファイルが安全だと教えてくれるしくみ(署名)です。
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$ reboot
→再起動されます
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ブート選択画面:
CentOS Linux (4.18.0-193.6.3.e18_2.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (4.18.0-193.e18.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (0-rescue-) 8 (Core)
→OS アップデートがあったので、メニューが増えました。3 秒待ち。
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追記:
2020-7-31 の更新にて、さらにメニューが増えました。
CentOS Linux (4.18.0-193.14.2.e18_2.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (4.18.0-193.6.3.e18_2.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (4.18.0-193.e18.x86_64) 8 (Core) CentOS Linux (0-rescue-) 8 (Core)
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ブート時のメニューの保持数が少ないので増やします:
デフォルトの保持数は 3 です。
Fedora だと、ちゃんと動かないカーネルの更新もけっこうあり、OS アップデート(カーネルの更新)が続いて、カーネル選択メニューが動かないカーネルだらけになり、ちゃんと動くカーネルのメニューが消えたことがあります。 最新のカーネルが良いとは言えないわけです。
安全策として値を増やして、ちゃんと動くときのメニューを残せれば安心です。ただし、増やすとディスク容量を使います。自分は 10 にしますが、安定したCentOS なら 5 でいいかも。
$ sudo nano /etc/dnf/dnf.conf
下記を修正:
installonly_limit=3
↓ 数字を増やします:
installonly_limit=10
確認:
$ cat /etc/dnf/dnf.conf [main] gpgcheck=1 installonly_limit=10 clean_requirements_on_remove=True best=True skip_if_unavailable=False
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再起動して反映
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(次回に続きます)
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参考: CentOS の設定
サーバー構築の基本 CentOS Linux 8のインストール後に設定する12の項目
→CentOS 8 でサーバーの構築をしたい時に参考になる記事です。
今回はクライアント使用なので、あまり使わない項目が多いのですが、サーバーの設定には何が必要なのか眺めておくだけで参考になります。書かれたときよりも現在はバージョンが上がっており、いくらかの違いがみられます。
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まとめ
Fedora で検証し安定動作するまで改善、それを反映させているのが商用の「RHEL」です。 逆に、Fedora は、新しいハードウェアに対応するため、常にカーネルは最新で、使われている技術も最新。 新鮮ですが実績が少ないわけで問題が発生しやすいです。
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公開された「RHEL」のソースから商標だけ取り除いてビルドし直したのが、今回の CentOS です。 Fedora でも、RHEL でも検証されて実績があるので安定しています。
CentOS はサーバーとして使われることが多いためか、インストーラに以前あった「ワークステーション」の項目は消えています。サーバーでGNOME の機能を入れるのとは少し違うと思うので、デスクトップ環境をメインで使いたいときは分かりづらいかも。
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CentOS 8 からはdnf コマンドが使えるので操作感はFedora と同じです。 今回のインストール設定だと、設定のときサーバー的に root でログインしてもいいし、ユーザでログインして sudo を使うこともできるようになります。(シェルの内部コマンドはsudo ではダメだったりします)
次回は、いよいよGNOME デスクトップ環境を インストール します。
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目次
- CentOS 8.2
- ダウンロード:
- インストール
- 1. 事前作業
- 2. ライブUSB メモリで立ち上げ
- 3. インストーラ画面が表示されます。
- 4. インストール先になるUSB メモリ(パーティションなし)を挿します。
- 5. 言語:
- 6. インストール概要: (自動で入力されているので確認)
- 7. 「インストール先(D)」をクリック
- 8. 「手動パーティション設定 」画面
- 9. 「インストール概要: 」画面に戻りました。
- 10. 「インストール概要: 」画面に戻りました。
- 11. 画面右下の「インストールの開始」をクリック
- 12. インストール中に、ユーザの設定を聞いてきます
- 13. 「完了しました!」表示
- 14. ブート選択画面:
- 15. ログイン画面
- インストールしたシステムの確認:
- システム更新
- 参考: CentOS の設定
- まとめ
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